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ごくオレ的、アメ車論。

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「アメ車」という響きにはどこかネガティブなイメージがつきまとう。

 デカイ、重い、曲がらない、止まらない、壊れる、アタマ悪そう、云々……と、「アメ車=ダメ車」というイメージが、我が国ではいまだ根強い気がする。

 それは実際、正しくもあり、また、正しくなくもあり……。

 僕は過去2台のアメ車を所有し、加えて1台のイタ/アメのハーフ車も所有した経験がある。C6のコルベットZ06とリンカーン・コンチネンタル・マークⅦ、そして、デ・トマソ・パンテーラL。うん、我ながらなかなか男らしいラインナップだね。

 2007年式のコルベットZ06は文句なしに世界レベルのスーパースポーツだった。曲がって止まってベラボーに速い。でもって街乗りもイージー。燃費だってスティックシフトを6速にぶっ込んで高速を1000回転+αくらいで流せば、余裕で10km/ℓプラス。誰だよ「ダメ車」とか言ってんのは? てな感じで普段からガンガンに使い倒し、高速では35のGT−Rとか997のGT3辺りとのバトルもフツーに楽しめた。

 いや、あれはマジでいいクルマだったな。

 当時、Z06は“世界一安い500馬力スーパーカー”とされていた。吊るしだとサーキットではブレーキが若干プアだったけれど、そんなものは交換すりゃいいだけの話。なんたって、車両価格が他のライバルと比べて遥かに安い(997GT3が1500万に対してZ06は970万)んだから、その分だけイジリ甲斐もあった。リヤ脚なんてリーフだよ。それでいて500馬力ってんだからアメリカ人って、逝かれてますね。

 とにもかくにもエンジンがサイコーだった。7ℓNA(427cu.in)のLS7はズゴーンっと下から猛烈に押し出してくれる、それはもうロケットみたいに迫力ある、それでいて上まで淀みなく回るベラボーに気持ちのよい名機だった。大時代的なOHVを貫いてこのパフォーマンス。LS7はアメリカンV8の金字塔みたいなエンジンだと今も思う。何より大排気量こそ正義。これぞアメリカン、実にマッチョで男らしい。

 それでいて理詰めの欧州強豪とタメ張れんだから(ル・マンも数回制したしね)、コルベットはアメ車、というよりもはや“コルベット”という特別枠と言っていいのかもしれない。そう、真に世界を制した純血アメリカンという意味で。

 実際のところ、多くのアメ車は世界ではなく、アメリカしか見ていない。ピックアップ・トラックがその最たる例。広大で基本フラットな北米大陸の中での使い勝手のみ重視。アメリカで最も売れてるのはだからいまだにフォードのFシリーズ、だかんね。そこら辺の感覚は開拓時代の幌馬車から何も変わってない。というか変わる必要がない。トヨタがテキサスでタンドラ作ってアメリカでしか売らない、ってのは、かの国のクルマ文化のリアルをよく表してると思う。

 そういう意味ではリンカーン・コンチネンタル・マークⅦは、まさに大陸的な大らかさを存分に味わわせてくれるクルマだった。なんたって名前が「コンチネンタル=大陸」だもの。僕のは1986年式のジバンシーで、GT志向のLSCよりラグジュアリーなモデル(購入価格48万円だったけどワンオーナー、ローマイルの極上車)。ともあれ80年代に入ってアメ車もかなりダウンサイジングされたとはいえ、2ドアのクーペで全長5.2mって、都内じゃ笑えるほどデカかった。でもってフカフカのソファみたいなシートにフニャフニャのエアサスだから乗り味はもう、“お前はフネか?”って感じ。

 当時はパンテーラと2台持ちだった(5ℓと5.7ℓを掛け合わせた自動車税は強烈で、30歳だった僕は危うく破産しかけた)から、刺激はパンテーラで得て、マークⅦはどこまでも優雅に乗った。だってフネだもん。焦らず騒がず、とにかくユルーく。

 ぶっちゃけ、欧州車じゃそういう気分にはなれないもので、後にW116の450SELにも乗ったけど、デカイ図体でも常にブイブイ走りたくなったものだった。

 ともあれマークⅦのその清々しいほどの鷹揚さは、あの時代のアメ車までにしかなかった特別な味なのかも。90年代に入ると、キャデラックのSTS辺りが欧州的な乗り味を正面からウリにしはじめて、それはそれで良いのだけれど、でもだったらベンツかビーエム買うよね~的な元も子もない結論に至る……というどこか笑えない話もあったりして。

 欧州人の感覚と、北米人のクルマ作りの感覚には、どうやっても埋めきれないそれはまさに大陸間の深い隔たりがある。アウトバーンやニュルのように日常に平然と横たわる超スピードの世界、フォーミュラ1に代表される根性よりもテクニカルありきのレースシーン、あとはアルプスの入り組んだワインディングに古代から続く石畳の市街路といった具合に、クルマを開発する土壌も、その先にあるクルマの使い道自体も、欧州と北米とではまるきり事情が違う。

 アメリカ人、特に東と西のコーストサイドに暮らすリッチで先進的な層はだから、そういうクルマは欧州から輸入して買えばいいと考えてる。だって俺んちはほとんど真っ直ぐな道ばっかやん。曲がるクルマ、何も無理して自分らで作らんでもええんちゃう? そこは欧州くんに任せとこ……と、実際それは、至極合理的な考え方でもある。

 米・伊の混血児であるパンテーラは、そういう意味で分かりやすいスーパーカーだった。より安く、より多くの人に提供できるスーパーカーを……フォードが描いたそんな商売ありきの青写真にアルゼンチン出身の情熱的なイタリアン・スーパーカーコンストラクターが乗っかり、アメリカンなハートを持った刺激的な混血児は生まれた。

 実際、アメリカンV8を積んだ混血マシン(レーシングカー含む)の名作は少なくない。ル・マンのレジェンド、フォードGT40を筆頭に、ビザリーニ、イソ、あとはシェルビー・コブラも混血マシンである。

 パンテーラに乗っていた頃、ワケ知り顔のエンスー気取りに「デカくて重いアメリカンV8積んでるから、さぞかしバランス悪いんでしょ?」と云われて思わずアホか?と思ったことがある。そいつにリヤのフードを開けてエンジンを見せた瞬間、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたのが実に愉快痛快だった。

 そう、小さいのだよ、スモールブロックは。でもってOHVだからヘッドも小さく重心も低い。ドラッグマシンとかトラックが積むビッグブロックは文字通りで確かにデカイけど、そちらのイメージばかり先行してアメリカンV8はデカくて重いと信じてる日本人は多い。でもそれは実際、喰わず嫌いもいいとこの世間知らずだったりする。

 パンテーラはあのGT40から受け継がれたパッケージングだったから、走らせても本当に素晴らしいスーパーカーだった。351クリーブランドはLS7に匹敵する名機だしね。チューニングする人も多かったけど、僕にはストックでも十分刺激的だった。

 より抵コストで量産しようとしたことで、パンテーラはグレードの低い鋼管フレームを使ったりしたので錆びに弱かった。だから、湿気の多い日本にやって来た多くの個体はボロくなるのも早かった。これは日本におけるアメ車全般(一部イタ車や英車も当てはまるかな)に言えることだけれど、欧州車より買い求めやすい価格だからこそ金のない若者が手を出し、ロクにメンテせずにボロくなった個体が受け継がれ、やがて「アメ車はボロい」というイメージが定着していく……という負の連鎖も「アメ車=ダメ車」のイメージをより強めたのだと思う。あと、一時はメーターをガンガンに巻き戻したアメ車も中古並行で蔓延してたしね。

 僕はそういう意味でシアワセ者だと思う。色んな年代のタイプの異なるアメ車(とハーフ車)を、かなり良いコンディションで楽しむことができたのだから。

 だからこそ声を大にして言いたい。アメ車は皆さんの想像より遥かに魅力に溢れてますよ!と。繊細さにはどこかで欠けるかもしれないけれど、その分の迫力と大らかさがある。そして何より、欧州勢よりは安価に楽しめるのがいい。

 今ではレストモッドやハイテックといったカスタム手法で、旧いアメ車をより現代的にアップデートすることも可能だし、何よりエンジンから足回り、エアコンにインテリアまでとにかく驚くほど充実したパーツが揃うのもアメ車の魅力だったりする。

 そう、カスタム大国でもあるのだからね、アメリカは。その辺りの深みに関しては、機会があればまたこのコラムで書かせてもらうとしましょうか。

 なんだかアレコレ適当に書いてたら、久々にアメ車が欲しくなってきた。そうね、今の気分なら、ビュイックのグランナショナルなんて渋いかも。V8ではなく敢えてのV6ターボ。そういう通好みな選択の深みがあるのもまた、アメ車の良さなのであります。そう考えると、AMCのペーサーとかも素敵よね。あ、ジャヴェリンも……

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この記事の執筆者

高田 興平

高田 興平

Ko-hey Takada

モーターヘッド編集長

高田 興平の記事一覧>>

1974年式の43歳。寅年。職業は編集者。ジャンルレスなモーターカルチャー誌「モーターヘッド」&コレクター向けのハイエンド・カーライフ誌「Gentleman Drivers」の編集長を兼務。他にもイベント関係などアレコレ手がける浮気性(?)。既婚。愛車は1982年式のメルセデス・ベンツ500SL。

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高田 興平

高田 興平Ko-hey Takada

モーターヘッド編集長

1974年式の43歳。寅年。職業は編集者。ジャンルレスなモーターカルチャー誌「モーターヘッド」&コレクター向けのハイエンド・カーライフ誌「Gentleman Drivers」の編集長を兼務。他にもイベント関係などアレコレ手がける浮気性(?)。既婚。愛車は1982年式のメルセデス・ベンツ500SL。

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