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クルマ町医者論。

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突然ですが高血圧です。

 先日、久々にジムに行って血圧計で測ったら、上が180もあった。それまで自覚症状が一切なかっただけに「え!やばいじゃん !!」という思いは余計に強く、さらには周囲も「死んじゃうよ」とか脅かすものだから、もうすっかりビビってしまった。

 ちなみにこの話をして唯一、「大丈夫やって、オレ、230あったから!」と実に心強い(?)励ましの言葉をくれたのは、他ならぬエスカンの鹿田パイセンだった。さすがパイセン!ていうかさ、長生きしてね♡

 ともあれボクは病院が嫌い。あの独特の匂いとヒンヤリした空気がとにかく大嫌い。だから健康診断もサボりがちで人間ドックも2年前に一度受けたきり。

 でも、今回はリアルな数字を目の当たりにして、行ってきました病院に。とはいえひたすら待たされ、どこか機械的に捌かれる(という勝手な先入観がある)大学病院とかは嫌なので、行ったのは近所の内科。そう、いわゆる「町医者」ってやつですね。

 で、これが良かった。

 家から歩いて5分。先生と事務の奥さんだけでやっている小さな町医者。だけれどその分、医者と患者の距離が近いというか、とにかく親身になってボクの身体の状態を診てくれる。病院にも温もりがあるのだと感じさせてくれる。

「むやみに薬に頼らず、まずは自分の努力で下げてみましょう」

 初老の先生は「だからまずはタバコをやめて塩分控えて適度に運動して、これを機に人としてカッコよくなりましょう」と、なんとも前向きなアドバイスをしてくれた。

 これが大学病院だったらどうだったか? 当たりの先生を引けば同じように親身に診断してくれたかもしれないけれど、大方はドライに「はい、降圧剤」となるはず。ボクは正直、病院も嫌いだけど、それ以上にお薬も嫌いなのである。

 それまで不摂生の見本みたいな生活だったのに、自分でも信じられないくらい、自分の身体を労ることができた。医者の言葉を素直に信じるなんて、ホント、信じられないのだけれども、ともあれそれから一月後、ボクの高血圧は危険領域から脱した。

 それが嬉しかったのはもちろん、何より自分の身体とはじめてきちんと向き合えたのは大きな収穫だった。それもひとえに、効率重視のシステマチックな診断ではなく、親身になって診療してくれた町医者の先生のおかげと思う。

 さて、長らくボクの血圧の話で引っ張ってしまって申し訳ないのだけれども、これをクルマに置き換えてみるとどうだろう。そう、まったく同じことが当てはまると思うのだ。それが旧いクルマならば、なおさらに。

 現代のクルマは、それがすべてとまでは言わないが、多くがディーラーでデジタル診断、そのまま機械が勝手に不具合を発見し、マニュアル通りにそれこそオートマチックにササっと直されていく。効率的、といえばその通りだが、なんというかそれってシステマチックに過ぎて味気がない。もっと言えば、もはや血が通ってない。

 それが例え機械であったとしても、そこに血が通っているからこそクルマは愛すべき存在なのだとボクは思う。こう言うとまた「時代錯誤の暑苦しいやつ」と思われるのだろうけれど、それで構わない。だって、そういう向き合い方のできるクルマ人生は、何より豊かで幸せだと信じているから。

 クルマにとっての町医者、それはすなわち街の車屋さんである。ここ最近は「ただ売るだけ」の販売店が目立ち、単に売買だけでなく、クルマのあらゆることを相談できて信頼して任せられるお店となると、その数は少ない。

 このコラムの読者ならご存知の通り、ボクは生まれてからすでに36年の歳月を生きた旧車と暮らしている。奥の深い旧車の世界ではまだヤングタイマーの部類とはいえ、それ相応に手は掛かる。

  以前、エンジン不調でディーラーに出したことがある。ボクのは並行物だったけれど、きちんと対応はしてくれた。しかし、深い部分に関しては、手を掛けることにはっきりと難色を示された。当然の話である。旧車を触るのは手間ばかり掛かってまったく効率的ではないし、何よりもう、昔のクルマをきちんと触れるメカが、効率重視のディーラーには居ないというのが実情なのだ。

 旧車に乗るなら頼れる町医者、というか主治医を持て——これは旧車乗りの常識である。さらに言えば、自分の身体を労るかのごとく、乗り手自身がクルマの調子を常々気にしてやることも大事である。それがストレスになるのなら、そもそも旧車には乗らない方がいい。だって疲れるだけだから。

 ボクにとってのクルマ町医者は、言うまでもなくエスカンである。大阪が本拠だから近所の町医者ではないが、今では埼玉の三郷にもブランチがあるから東京住まいにも頼りになる。

 エスカンのウェブコラムをこうして書いている身だけに、「ナニ、提灯書いてんのよ?」と言われるのを覚悟で書くが、エスカンのクルマの「治し方」は実に親身だ。こちらの懐事情を察し、余計なところまでは手を掛けず、かといって適当ではなく、気軽に気長に旧車を楽しめるようにアレコレと知恵を絞ってくれる。

 そりゃ、お金があればフルレストアだってしたいけれども、コツコツと時間を掛けてオリジナルを維持していく楽しさこそ、旧車の本当の楽しみ方だと教えてくれもする。

 医者との相性があるように、車屋との相性もある。ボクにとって、今乗っているメルセデスは一生モノである。そう、それは自分の身体の一部と言っても過言じゃない。

 一生付き合うと決めた以上、一生面倒を診てくれるクルマ町医者の存在は不可欠でもある。

 小さすぎたら余裕がなく、逆に大きすぎたら効率重視でどこか手薄——相性のいいクルマ町医者の見つけ方は結構難しい。よほどのマニアならマニアな主治医に行き当たるのだろうが、ムード派の旧車乗りにはちと敷居が高い。何より、いちいち講釈垂れながらクルマと向き合うのは、個人的に苦手なのだ。

 適度に肩の力を抜いて、いろんなジャンルを受け入れて、何より好きなものは好きと素直に言える——そんなクルマとの素直な付き合い方をサポートしてくれるクルマ町医者。要は、客との目線が同じで距離感が近い。ちょっと褒めすぎかもしれないが、エスカンってそういう親しみやすさがある。

 クルマも乗り手も幾つになってもカッコよく——それって結局、自分に無理せず自然体でいるってことだと、ここ最近改めて思う。そう考えると、高血圧でもメゲることなく、美味いもの食っていい酒飲んで、人生を素直に謳歌する鹿田パイセンの自然体過ぎる生き様は、カッコよくも見えてくる。ん、いや、血圧だけは、低い方がいいか……

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この記事の執筆者

高田 興平

Ko-hey Takada

モーターヘッド編集長

高田 興平の記事一覧>>

1974年式の43歳。寅年。職業は編集者。ジャンルレスなモーターカルチャー誌「モーターヘッド」&コレクター向けのハイエンド・カーライフ誌「Gentleman Drivers」の編集長を兼務。他にもイベント関係などアレコレ手がける浮気性(?)。既婚。愛車は1982年式のメルセデス・ベンツ500SL。

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高田 興平Ko-hey Takada

モーターヘッド編集長

1974年式の43歳。寅年。職業は編集者。ジャンルレスなモーターカルチャー誌「モーターヘッド」&コレクター向けのハイエンド・カーライフ誌「Gentleman Drivers」の編集長を兼務。他にもイベント関係などアレコレ手がける浮気性(?)。既婚。愛車は1982年式のメルセデス・ベンツ500SL。

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